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もっと人生ラクになるコミュ力UP超入門書
備瀬哲弘

  はじめに

 ◎読むだけで心がぽかぽかあたたかくなる本
  「人づき合い」にみるみる自信が湧いてくる!

 私たちは、「コミュニケーション」や「人づき合い」で悩み、ときに落ち込むこともあります。
 でも、大丈夫です。
 本来、コミュニケーション自体も、それによって育まれる人づき合いも、いずれも私たちに『チカラ』を与えてくれるものですから、そんなに心配しなくても大丈夫なんです。

 たとえば仕事で知り合った人でも、
「距離感のとり方がうまいよね。気さくに話しかけてくるけど、なれなれしくないし、返答に困ることは聞いてこないね」
 という人もいることでしょう。いわゆるコミュニケーション能力(本書では『コミュ力』と呼びます)の高い人です。そういう人といっしょにいるときには、変に身構える必要がないので、安心した気持ちで過ごすことができます。

 また、たとえば、子どもたちが通う学校の保護者の間で、
「とにかく人から好かれるのよね。いつ会っても本当に素敵な人!」
 と、評判になるような人もいます。評判になるだけあって、確かにそういう人に会い、コミュニケーションをとってみると、不思議と気持ちが明るくなることがあります。これは、人づき合いがもたらすチカラのひとつでもあります。

 また、困難なことが起こっても、
「あの人が一緒なら、きっと何とかなるだろう」
 と誰かと協力し合うことで、ナーバスになりすぎず、前向きに対処していけるということも、人づき合いのもたらすチカラのひとつでしょう。

 さらに、初対面のときから、不思議なくらい居心地がよくて、
「また会いたいな」
 と、思える人もいるものです。
 こういう人たちは、まず間違いなくコミュ力が高く、それが人づき合いに良い影響を及ぼしています。こういう人たちとは、ぜひこれからもおつき合いを続けたいと、ワクワクするような気持ちになります。
 これからどんな「いいこと」が待っているのだろうかと、心躍るような期待感。
 これもまさに、人づき合いがもたらす素晴らしいチカラではないでしょうか。

 このように、良好なコミュニケーションを伴った人づき合いを通して私たちは、
「人とつながるっていいな」
 と、心にポカポカとあたたかいものを感じることができます。
 人づき合いとは、本来このように私たちを幸せな気分にし、やる気や勇気、希望といった大きなパワーを与えてくれるものなのです。


 ◇「いい人間関係」を楽しめていますか?
 ただ、残念なことに私たちはよろこびやパワーを感じるような人づき合いばかりを経験しているというわけではありません。
「人づき合いは、どうも苦手だ」
「人づき合いで、気疲れしちゃって」
「どうも、あの人とはうまくコミュニケーションがとれない」
 という声を聞くことがよくあります。
 いや、どちらかと言うとこのように、「コミュニケーション」や「人づき合い」と聞いただけで、ため息をつく人の方が多いのかもしれません。
 また、この本を手にとっているあなた自身が今、まさにそういう状況だという場合もあるでしょう。
 多くの人が、多くの場合において、コミュニケーションも人づき合いもストレスになると捉えています。

 コミュニケーションや人づき合いをストレスとして感じることが続くと、私たちは、
「コミュニケーションや人づき合いとは、大きなよろこびや、他には代えがたいパワーを与えてくれるものである」
 という本質さえ忘れがちになります。
 そうなると、さらにコミュニケーションや人づき合いはつらくなり、毎日の生活が苦しいことの連続と感じるようになります。それは、とても、とても残念なことだと思うのです。


 ◇「やさしい人」ほど心が疲れている
 私は小さなクリニックを開き、町の精神科医をしています。そのため、心身のバランスをくずして受診しにくる方々からさまざまなお話を聞いています。
 診察でうかがうお話の中には、「コミュニケーション」や「人づき合い」についての悩みも多くあります。いずれの状況も、とても大変そうです。
 私たちはそれぞれに個別の事情を抱えています。
 生まれ持った性格、育ってきた環境、これまでの人生で出会った人たちから受けた影響、そして仕事や家庭など今現在の環境や、さらにはその日の機嫌や体調という、それぞれの事情の中で、誰もが精いっぱい毎日、生活しています。
 まさに置かれている状況は十人十色ですが、はっきりと言えるのは、「コミュニケーション」や「人づき合い」に悩んだり、傷ついている人は、どの人もとても真面目で、他人に気をつかい、自分より他人を優先する、心優しい人たちばかりだということです。
 ただ、真面目で優しいからこそ、コミュニケーションでも、人づき合いでもがんばりすぎて、自分に我慢ばかりを強いているように感じられることが少なくありません。
「こんなこと言うと、自分勝手だと思われるんじゃないか」
「コミュ力が低い自分が、きちんと上手に話ができるだろうか」
「自分のせいで不愉快な思いをさせていないだろうか」
 という具合に。

 そして、こういったことは、診察に訪れる方に限らず、私たちの誰もが日常的に経験しているものです。私たちも、普段から、
「もっとしっかりしなくては……」
 と、生真面目さから、自分にプレッシャーをかけすぎてはいないでしょうか?
「自分さえ我慢すれば……」
 と、他人を尊重するあまり、自分の気持ちを押し殺してはいないでしょうか?
 さらに、心の中では苦しいと感じているのに、
「これくらいのことで苦しいと感じるなんて、自分が未熟だからだ」
 と、自分を追い詰めてしまうようなことはありませんか?

 これでは、自らをいじめているようなものです。
 苦しいのにいたわれず、ひたすら我慢ばかりを強いているギリギリの余裕がない状態では、人づき合いにおいても優しさを他人に与えることは、難しくなります。
 そうなると、元々人づき合いが与えてくれる、
「人とつながるっていいな」
 という、心があたたかくなる、心地よい感覚を感じることもできません。“コミュニケーションは苦手”“人づき合いはつらい”という意識ばかりがさらに強くなってしまいます。


 ◇「忘れていたこと」を思い出すだけでいい
「そうは言っても、どうすればいいのか……」
 と不安になる方もいるでしょう。
 でも、大丈夫です。
 どうして大丈夫だと言えるかというと、元来、私たちにはあたたかい気持ちが備わっており、それは私たちがつき合う相手も同様だからです。
 あたたかい気持ちを持つ者どうしがつながる「コミュニケーション」と、それにより育まれる「人づき合い」とは、そもそも私たちを幸せな気分にし、生きていく上で必要な大きな『チカラ』を与えてくれるものなのです。

 赤ちゃんのころを考えてみるとわかりやすいかと思います。
 赤ちゃんのころには、人づき合いの対象は主にお母さん(ここでは、生母に限らず、主な養育者は「お母さん」と述べます)でした。
 もちろん、まだ言葉は交わせないものの、それでも赤ちゃんであった私たちは、お母さんとしっかりと心のつながりを持っていました。つまり、私たちは、お母さんに存在をあたたかく包み込んでもらい、癒やされていた状態にあったでしょうし、お母さんの方も両腕で私たちを抱きかかえあたたかい眼差しを注ぐときに、癒やされていたはずです。
 ちなみに言葉は介していませんが、これも立派なコミュニケーションです。そして、これによって、癒やし、癒やされる、という、これ以上ないくらいのつながりを持てていたのです。

 そうです。
 もし、今、コミュ力が低いとか、人づき合いをつらいと感じていたとしても、私たちは、こういう風に、「元々コミュニケーションと人づき合いから大きなチカラを得ていたのだ」ということを思い出していけばいいのです。
 だから、心配はいりません。
 そういう「コミュカ」と「チカラになる人づき合い」を取り戻すために、日々意識して行なうことについて、整理していくこととしましょう。

 心のバランスをくずさないような人づき合い。さらに、それだけにとどまらず、より健やかで、人と人とのあたたかいつながりを感じることのできる「コミュ力」アップと、「人づき合い」のコツを、本書を通してつかんでもらいたいと願っています。

なお本書で紹介するケースはいずれもフィクションであり、実在する個人を特定するものではありません。

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