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黒リッチってなんですか?
クロリッチッテナンデスカ

著者:博報堂お金持ち勉強会
■ISBNコード: 978-4-08-780450-8
■判型/総ページ数: A5判ソフト/176ページ
■発売年月日: 2007年4月26日
まえがき なぜいま「富裕四族」なのか?

「週に一度は、フィリピン国籍の家政婦さんに掃除に来てもらっています。週一でも来てもらえると、結構ラクでいい ですよ」。最近、知人からこういった話を立て続けに聞いて驚いた。大金持ちからではない。バリバリ働く二〇代の 外資系独身独居女性と、小学生の子供がひとりいて夫がマスコミ勤めの三〇代コマダムからだ。後者は小遣い 稼ぎ程度にバイトをしていて都心の2LDKに住む。普通に考えたら、家政婦は必要ないのかもしれないが、 外国人家政婦だと、ちょっとしたトレンド感もある。どちらも、世帯年収は一五〇〇万円以下だと察する。
 このように、「大邸宅大富豪」でなくとも、家政婦などの外部サービスを入れている人の話はそう珍しくなくなって きている。共働きや、独身男性なら、クリーニングサービスなどもそのひとつだ。
「店に並ぶ時間がもったいない。ならば少しばかり割高だけれど、取りに来てもらった方が効率もいいし、精神的 にもイライラせずいい」と。

富裕層とは何者か?

「富裕層」という言葉が口の端に上り出したのは、二〇〇五年春あたりからだ。その頃から、我々「博報堂お金持ち 勉強会」(※1)は、都心を中心に世帯年収二〇〇〇万円以上稼ぐ人々を「富裕層」と定義し、取材を重ねてきた。 こうした外国人家政婦など外部サービスの話は、当時、「富裕層」から聞いて驚いた話だったが、彼らが取り入れて いるサービスや行動は、最近少しずつ一般庶民の我々に降りてきている感がある。もちろん外部サービスだけ ではない。子供への教育、自分への投資、そして健康や、バカンスの過ごし方などなど。景気が上向きになった 今、人々の生活に余裕が出始めたのか、ニートやフリーターが増加し所得格差が拡がる一方で、富裕層が運ぶ 新しい風により、さまざまな生活価値観が変わりつつあるのも確かだ。
 では、この「富裕層」という人々は、本当のところいったい何者なのだろうか。実はその暮らしぶりはよくわかって いない。海外旅行は豪華客船かチャーター便で、ホームパーティーには寿司職人やソムリエ、マジシャンを呼ぶ。 花は一流のアーティストに活けにきてもらう、マッサージやネイルケアはもちろんのこと、ボールルームダンスの レッスンも自宅で受ける、父兄会はスイスの湖畔で……。誰がいつこんな生活を!? と疑いたくなるものばかりだが、 実際このようなサービスは多岐にわたり存在し、それを利用する人々も増えているという。まだまだ我々が知りえ ない富裕層の日常はいっぱいあるのだ。
 富裕層の定義もさまざまだ。一般的には、「不動産を除く純金融資産一億円以上、世帯年収三〇〇〇万円 以上にの高額所得者を指す場合が多いようだが、我々はあえて対象者を世帯年収二〇〇〇万円以上に設定し 取材を進めた。それは、ストック(資産)よりもフロー(キャッシュ)の部分を追求したかったからだ。億万長者だけ 追いかけていては、その影に潜む巨大マーケットを見逃してしまうと考えたのだ。メディアから流れる、一部の セレブと呼ばれる人々の表層的な生活だけではなく、一般庶民よりちょい上の生活を送る人々にもスポットを 当てることにより、豊かに暮らすという「生活の細部]を見ることを試みた。
 本書は、そうした『富裕層の息遣い」をまとめた一冊である。彼らの真の姿を探るために、我々はさまざまな職種、 年齢の富裕層と面接した。起業家、レストラン経営、病院経営、美容整形コンサルタント、エリートサラリーマン、 ITコンサルタント、弁護士、文筆業、公認会計士、貿易業、外資系金融、マスコミ、ホテル経営、オーナーカン パニー子息、アート収集家、タレント、俳優、ブライダルコーディネーター、タクシー会社経営者など、その数は、 総勢五〇名にのぼる。定量調査ではなく、実際に会って根掘り葉掘り話を聞くことに徹したのは、彼らの物腰、香り、 言葉遣い、まなざし、ファッション、歴史などまで知りたかったからであり、それらは、紙やネットによる調査で は到底知ることはできないものだ。
 そのうち11軒には、邸宅潜入ルポも試みている。本来は隠したがる傾向の強い富裕層であるが、今回写真を 撮らせていただいた何人かの方々には、お願いにお願いを重ねて出ていただいている。機縁法による インタビューということもあるが、共通して、撮影現場での心遣いや、紳士的な対応にも、富裕層の一面を垣間見る ことができた。我々を受け入れてくれた広い心に、深く感謝している。どうか視覚的にもじっくりと「富裕層」を 楽しんでいただきたい。

富裕四族の発見

 さて、富裕層は、よく所得ランクや職種別にくくられることが多い。しかし、我々が約五〇人の富裕層と、二〇人の 売り手に会って話を聞くうちに、必ずしもそのタイプ分けは適切ではないということがわかってきた。同じ職種で 同じくらい稼いでいる人同士を見ても、あまり消費をしない人もいれば、かなり派手に使う人もいたのだ。そこで、 収入などの「人口」ではなく、消費という「出口」から彼ら富裕層を四タイプに分類できるのではないかという結論に 至った。それは、消費の幅と顕示欲の強弱といった二軸で表すことが可能だ。とても裕福でゴージャスな生活を 送っている「黒リッチ」、派手な印象は受けないがエリートサラリーマンの発展形「隠れリッチ」、生活は堅実だが、 サラブレッドである「守リッチ」。そして、一般庶民よりちょい上クラス、世帯年収二〇〇〇万円ほどの生活を送る 「一点リッチ」。総称して「富裕四族」と名づけマッピングしたのが二〇〜二I頁の図である。詳細は、各章で後述 するが、四族の特徴をざっと説明しておこう。
@「黒リッチ」。富裕四族の代表格ともいえる。その名の通り、クレジットカードのブラックカードを持っている人が 多かったことからこう呼んだ。つまり、消費額も買うものの質も、他のリッチ族より高く豪快だ。しかも全方位的に 豪華消費し、顕示欲も強いのが特徴で、一見して富裕層とわかりやすい。
A「隠れリッチ」。一見して富裕層とわかりやすい「黒リッチ」と対照的に、その生活ぶりから資産を推し測りづらい のが「隠れリッチ」。全方位消費をするが、顕示欲は弱い。仕事の能力・スキルが高く、好きな仕事に潔としている ところをヘッドハンティングされ、現在の待遇とお金を手に入れたというタイプが多い。
B「守リッチ」。良家に生まれた彼らは、家の資産などを守る立場にあり、オーナーカンパニーの御曹司などに 多くみられる。時として、庶民からはちょっと地味に見えるくらいお金を使わない。幼い頃からモノに満たされて 育ってきたからか、自分が富裕層であることを他人に顕示する欲も少ないようだ。そうは言っても、生まれながらの 紳士淑女。旅行や結婚式など、かけるときにはしっかりお金をかける。
C「一点リッチ」。大金持ちではないものの、自分なりの確固たる価値観にそって、気に入ったジャンルには惜しみ なくお金をかけるスマートな小金持ちだ。基本的な生活レベルは高く「ちょっといい暮らし」を充分な可処分所得で 易々と実現している。安全でおいしい食事、上質な素材で作られた着心地のいい衣服、自分のセンスで整え られた住居こそが人生であると考えている人々である。 (…この続きは本書にてどうぞ)


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