書誌情報

小説/戯曲

火影に咲く

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著者

著者:木内 昇

あらすじ・概要

沖田総司、高杉晋作、坂本龍馬、中村半次郎……。幕末の京を駆けた志士と、想いを交わした女たち。
彼らが生きた、かけがえのない一瞬を鮮やかに描き出す珠玉の短編集。

「川というのは無慈悲なものよ。絶えず流れて一時たりとも同じ姿を見せぬのだから」(詩人・梁川星巌×妻・張紅蘭「紅蘭」)
「わしにもいつか、そねーな日が来よるかのう。日なたを歩ける日が」(長州藩士・吉田稔麿×小川亭の若女将・てい「薄ら陽」)
「死んだって、生きてるんだよ。なにひとつなくならない。あたしが、あの人を慕っていたことも、あの人があたしを何より大事にしてくれていたことも」(新選組・沖田総司×労咳病みの老女・布来「吞龍」)
「女がみな、惚れたはれただけで生きとる思たら、大間違いどすえ」(長州藩士・高杉晋作×祇園の芸子・君尾「春疾風」)
「しっかし、おまんは果報者じゃ。あがな美しいおなごに選ばれたがぜ」(土佐藩士・坂本龍馬×岡本健三郎×亀田屋の娘・タカ「徒花」)
「うちはな、中村様がほんまに好きやった。こないに心の底から人を好きになれんのや、と自分で驚いたほど、好きやった」(薩摩藩士・中村半次郎×村田煙管店の娘・さと「光華」)
以上、全六編収録。

【著者略歴】
木内 昇 (きうち のぼり)
1967年生まれ。東京都出身。出版社勤務を経て、2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。2009年、第二回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞を受賞。2011年、『漂砂のうたう』で第144回直木賞を受賞。2014年、『櫛挽道守』で第9回中央公論文芸賞、第27回柴田錬三郎賞、第8回親鸞賞を受賞。著書に『新選組裏表録 地虫鳴く』『茗荷谷の猫』『笑い三年、泣き三月。』『ある男』『よこまち余話』『光炎の人』『球道恋々』など。