書誌情報
集英社文庫(日本)
白春
著者
あらすじ・概要
「生きるのだよ。まず、生きるのだよ」私にはこの言葉が、武士の一分、妻の一分を描いた本作の主題であると映る──澤田瞳子(解説より)
赤穂藩京屋敷留守居役・小野寺十内と妻女・丹。ふたりの日々を通して描く忠臣蔵
赤穂藩京屋敷留守居役の小野寺十内と妻お丹に仕えるろく。親を知らず耳が聞こえぬ彼女だが、出会いに恵まれ仕合わせな日々を過ごしている。しかしろくが二十歳になった年、藩主浅野内匠頭の江戸城松の廊下での刃傷という一大事が出来する。忠義を貫き命を散らすのが武士の一分ならば遺された者の一分とは……。滋味溢れる筆致で赤穂事件の顚末と家中の人々の覚悟を描く第9回中山義秀文学賞受賞作。