書誌情報
インターナショナル新書
役に立たないロボット 日本が生み出すスゴい発想
著者
あらすじ・概要
ロボットは、人に代わってたいへんな作業をするためにつくられるもの。ところが、日本にはなぜか「働かない=役に立たないロボット」がたくさんいる。そのワケを探して関係者への取材を重ねていくと、「役に立たないロボット」たちには、人の生き方や社会すら変え得るほどの力が隠されていることが見えてきた。
日本では、八百万(やおよろず)の神や九十九(つくも)神になじみ、道端にはキャラっぽいお地蔵さんがたたずみ、ダメなロボットが騒動を巻き起こす漫画やアニメは数知れないなど、もともと人ではないものにも感情移入して受け入れる土壌がある。けれど、それだけで「役に立たないロボット」がこれほどつくられ、人々に愛されていることの説明にはならない。
二足歩行の研究を目的につくられたHONDAの「ASIMO」のようなロボットは別として、SONYの「aibo」、GROOVE Xの「LOVOT」、Panasonicの「NICOBO」、豊橋技術科学大学のさまざまなタイプの「弱いロボット」たち……。「仕事をしないロボット」が続々登場する背景には、つくる側にとっても接する側にとっても、カワイイことや癒しの効果にとどまらない、何か特別な意味があるのではないだろうか?
そもそも、「役に立たないロボット」は本当に役に立たないのか?
こうした感覚は、日本以外の国では通用しないのか?
そんな疑問のこたえを求めて、研究者、開発者、イベント主催者、エンジニア、僧侶……関係者への取材を通して考えていくと、「役に立たない」ことと「ロボット」であることではじめて成立する、人とロボットとの新しい関係性や、労働とは違う本当の役割と価値が浮上してくる。
【目次より抜粋】
第一章 どのような「役に立たないロボット」が存在するのか?
第二章 「弱いロボット」はウェルビーイングを引き出す
第三章 「LOVOT」、人を幸せにするテクノロジーのあり方
第四章 「ヘボコン」、笑いの奥に潜むもの
第五章 「AIBO」供養に見る「壊れる」価値
第六章 人や社会を拡張するロボットたち
第七章 「役に立たないロボット」は本当に役に立たないのか?
【著者略歴】
谷 明洋(たに・あきひろ)
科学コミュニケーター。1980年、静岡市生まれ。2007年、京都大学大学院修了(農学修士)。静岡新聞社、日本科学未来館勤務などを経て、睡眠ウェルネスアドバイザーや、地域を旅する「さとのば大学」専任講師など、多岐にわたって活躍中。