書誌情報
集英社新書
書物と貨幣の五千年史
著者
あらすじ・概要
情報化社会の到来にともなって、ひとびとの行動や情報は電子機器上で完結し「見えない」ものになっている。その最たる例が電子書籍(書物)と電子決済(貨幣)だ。「読む」「支払う」といった手間をデバイス上で不可視化することで、人間の行動をブラックボックス化しているのである。ブラックボックスが溢れる時代を、我々はどう生きるべきか。PayPayやマンガアプリの登場から古代メソポタミア文明までを遡りながら、現代思想や文学作品に書かれた様々な「ブラックボックス」を読み解き、不可視化されたものに向うすべを説く。
【岩井克人氏・松岡正剛氏 推薦!】
◆岩井克人 氏(経済学者)◆若い永田さんが「ブラックボックス」という概念を用いて、現代世界を読み解こうという試みです。どのようにしたらこのブラックボックスから「生きた時間」を取り戻せるのか? それは読者ひとりひとりがみずから考えていかなければなりません。
◆松岡正剛 氏(編集工学者)◆「見えないもの」たちこそ、大事な顛末を動かしてきた。
第1章 すべてがブラックボックスになる(1.モバイル革命とはなにか/2.スクショとデジタルトランスフォーメーション/3.インターネット革命が生み出したブラックボックス/4.管理通貨制度と電子取引が不可視化したもの)
第2章 情報革命の諸段階、情報濁流の生成過程(1.情報革命の諸段階、情報濁流の生成過程/2. ルネッサンスと印刷革命/3.中世以前の書物と貨幣/4.文字・言葉・数)
第3章 人間は印字されたページの束である(1.印象と心像/2.現代思想はブラックボックスをどう扱ってきたか/3.価値とシミュラークル/4.ブルシットジョブと『生きた貨幣』)
第4章 物語と時間(1.文学作品に畳み込まれた「生きた時間」/2.あなたの人生の物語/3.はてしない物語/4.「話」らしい話のない未来)